【特別賞】 茶器『ファンシー ダブル ストレート スプラッシュ』
素材:磁器
林 優花さん(石川県)
= 講評 =
前﨑 信也氏(美術工芸研究家・京都女子大学准教授)
学生の部に出品された作品の中では最も完成度が高く主張が強い
作品でした。自分が良いと思うものを信じることほど大切なことは
ありません。このまま突き進んでいただきたいものです。
中山 福太朗氏(茶人・会社員)
きちんとした技術を身につけているのがよく分かりました。
急須の手取りや形、湯呑みのハート型や薄さ、高台のキリッとした
感じに好感が持てました。
また、一次審査でお話をする中で、自身のアイデアや思いを強く
持って作品づくりに邁進する点、これからどんなものを作って
いくのだろう、と楽しみです。
茶に限らず、様々な知見を広げ、自身の「好き」を数多く発見して
欲しいと思い ます。
それが混じり合ってゆく過程の中で、自身が心からワクワクできて、
誰も見たことのないものが生まれるはずです。
佃 梓央氏(煎茶家・一茶庵宗家嫡承)
受賞作なしにすべきだったか、それとも本作を受賞作とすべきか、
本当に迷いました。今でも迷っています。できるだけ受賞作なしは
避けようという全体方針と、本作の技術の正確さ、つまり、工芸を
学ぶ学生さんとして確かな技術を学んでいらっしゃるという点から、
その学びの真面目さを応援する意味で受賞に賛成しました。
これから、数々の名品を見て、自分の世界観とのギャップを揺さぶられ、
壊され、悩み、自分の世界観を再構築して行ってください。あのとき
受賞していただいてよかったなと未来で思わせていただくことを
期待しています。
目にした瞬間のインパクトの強さを胸に、カメラのレンズをのぞくと、
思わず ”かわいい!”という声がでました。
デザイン+技に裏打ちされた作品は、若い世代だけにとどまらず、
工芸の知識や感性を持った人にも通じる強みになることを改めて
感じます。
ハートがもつハッピーな要素とデザインを、タイトル通りにビビッと
受け取ると、日常にあったら楽しそう、という気持ちが素直に
膨らみます。
(文・撮影= Izumi TK)
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