【入賞】
吉野 弘純 氏 掛分千筋建水「無尽蔵」 H7.8 x φ16.5
ー制作にあたってー
建水です。外側の線引きが特徴です。
お点前の時、指当たりが良いように思います。
うすく黒い釉薬をかけることで、裏を返すと不思議なグラデーションに
なりました。
<前﨑信也氏(京都女子大学准教授)のコメント>
おそらくモノを見る力がある方なので、何が良いのか、分かる分からないに
関わらず、作られるものに一貫したセンスがあります。
これを意図して作り、共感を生む言葉で説明することができるようになれば、
よりよいものが生み出されそうな期待感があります。
<中山福太朗氏(茶人)のコメント>
派手さはないけれど、バランスがとてもいいな、と思いました。
足元を絞った器形に、素地と釉に高いコントラストをつけ、深めの輪線を
外側全体に彫る。この全体設計が、建水という役割に見事ハマっています。
形のおかげで持ちやすく、またすっきりとしたフォルムは現代的です。
輪線は手がかりの良さにも効果的で、深い彫りは形のフォルムに
沿ってかすかに色のグラデーションを作っていますが、視覚的に
強過ぎません。
建水としての用途とデザインがよく連携しており、こういう形式が建水という
ジャンルに名前を伴って存在していいな、と思います。
欲をいえば、高台の造形に物足りなさを感じました。
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フォルムの輪郭と千筋。その絶妙なバランスと影・釉薬が溶け合う
キリリとした美しさ。
それとは対極にある内側の淡い色。
斜め45度辺りから光が差し込むと、3つのコントラストが生まれ、
新たな静けさが心をとらえる作品です。
SFの世界のように、水を入れれば無尽蔵に下から水が流れつづける
イメージと仰った吉野さんの豊かな発想力。
陶芸を始めて2年目でありながら磨かれた感覚をお持ちであること、
普段はピアノ調律をされていることに、大きな驚きを持ちました。
文・撮影= Izumi TK
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