夜空からそっと取りだしたような月のオブジェ。
縄文時代から月を愛でる風習があったといわれている日本では、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて生きた武士であり僧侶・歌人である西行が、こんな和歌を残しています。
なにごとも変はりのみゆく世の中におなじかげにてすめる月かな
左右から1.6km程歩いた所にある銀閣寺は月を観賞する壮大な舞台です。
庭園の背後に佇む月待山から昇る姿に清冽な美しさが宿ります。
心に秘めた思いに、優しく光を当てる月。
この作品を見つめていると、その月の神秘に導かれ、ゆっくりと胸のつかえが取れていくような感覚に安らぎを感じます。
work by Akiko Noda