蔓手土瓶
伊勢崎 紳
伊勢崎 紳
古墳時代の後半から日本で作られていた陶質の土器である須恵器をルーツにもつ備前焼は、 岡山県伊部の北にある山々から雨水に流され、数億年もかけて堆積したきめ細かい、粘り気のある土を 使って焼かれます。
中学生の頃から窯焚きを手伝い、備前焼に触れることが生活の一部になっていた伊勢崎氏は、土味を 見極めながら土選びをし、また自身で粘土を掘り、ほとんど手作業で精製することもあるといいます。
年に一回の窯焚きは一度に 1000 点以上をつめ、2 週間近くじっくりと焼締めます。備前焼をつくって いた昔の人がもし、“今”という時代に生きていたら、どんなものを作りたいかを想像しながら制作 していると語ります。
また土の粗さに変化をつけたり、模様を浮き立たせたりすることによって陰影を つけ、窯焚きでは経験を重ね、炎の特性を知り、コントロールすることで生みだされる炎の模様。 これらが合わさることで一見シンプルでありながら、静かに、力強く佇み、表情豊かな存在感を 放ちます。
千年以上の歴史をもつ備前焼の流れを受け継ぎつつ、自分の幅を広げることにより新たな作品を 生みだす伊勢崎氏の可能性に期待は膨らみます。
Profile
1965 年 | 伊勢崎満(岡山県重要無形文化財)の二男として生まれる |
1988 年 | 大阪芸術大学陶学科を卒業し、父に師事 その陶技を習得する |
1989 年 | 第 40 回岡山県展で特別賞受賞 |
1990 年 | 田部美術館大賞茶の湯の造形展奨励賞受賞 |
1992 年 | 日本工芸会中国支部展岡山市長賞受賞 |
1993 年 | 田部美術館大賞茶の湯の造形展奨励賞受賞 |
第 12 回日本陶芸展入選 | |
第 40 回日本伝統工芸展日本工芸会奨励賞受賞 | |
1994 年 | 日本工芸会中国支部展島根県知事賞受賞 |
1995 年 | 第 13 回日本陶芸展入選 |
第 42 回日本伝統工芸展入選、日本工芸会正会員となる | |
1997 年 | 日本工芸会中国支部展山陽新聞社賞受賞 |
1998 年 | 第 45 回日本伝統工芸展入選 |
2007 年 | 日本工芸会中国支部展 50 周年記念奨励賞受賞 |
2009 年 | 日本工芸会中国支部展岡山県知事賞受賞 |
2011 年 | 田部美術館大賞茶の湯の造形展奨励賞受賞 |