第2回 ティー・エレメント公募展 【入賞】作品のご紹介

Activity in Japan日本での活動



【入賞】 水指『水面』 素材:漆・ガラス・檜・金 太田 勲さん(滋賀県)

= 講評 =

前﨑 信也氏(美術工芸研究家・京都女子大学准教授)

全く水の色をしていないにも関わらず《水面》というテーマが伝わります。
今後漆の色が徐々に淡くなるにつれて、作品が魅力的に変化していくことが
想像できます。
ただ、ガラスに漆をかけたということではなく、ガラスと漆でしかできない
表現に成功しています。ただ、解説があっさりしすぎていて、イメージの
広がりという意味では少し物足りないところがすこし惜しいです。

中山 福太朗氏(茶人・会社員)

品と風格がありました。ガラスに漆を白檀塗りで加飾した作品ですが、
ガラス単体や木地+漆では出ないぷっくりとした表面の質感、薄暗がりでの
反射や重量感は、この組み合わせならでは効果で、水指という道具とよく
合っています。また、身・蓋共に形が慎重に練られているのがしっかりと
感じられ、品の良さを生んでいます。

昨年もガラスに漆という同様の技法で出品下さいましたが、素地のガラスは
別の作家さんへ依頼されたものでした。漆の仕事としては、素地は外注する
ケースが多いため、素地の製作者とのコミュニケーションも含めて作品で
あると私は認識しています。しかし今年は、ガラスから全て作家ご本人の
仕事であるとのこと、並々ならぬ気持ちと、その成果が見られました。
作りたいものに合わせて、木に限らず組み合わせを選択できることは、
作品の幅を広げてくれるはずです。
これからさらに深化を図るなら、蓋の摘み、塗りの意匠に工夫が欲しい
ところでした。テーマを匂わす具象をうまく使えると、茶の道具としての
面白さや、深みが増すように思います。

佃 梓央氏(煎茶家・一茶庵宗家嫡承)

昨年に引き続いてのご受賞となりました。今年の方が遥かに造形自体も、
それに付随するストーリーも、しっかりとまとまった素敵な作品でした。
審査中にいつも「蓋と身のバランス」が問題になります。「蓋がないほう
がいい」とか「蓋と身がバラバラだ」という意見が出てきがちなのですが、
本作はそのバランスが非常に取れていました。
また『水面』をテーマにしたストーリー性も造形としっくりとはまっていて、
モノとストーリーに乖離がなく、受け取りやすい作品となりました。昨年の
作品も『水』をテーマにされていて、これからも『水』というテーマで
ストーリー性のある作品を期待しています。
今回の作品、逆に言うと、まとまりがよすぎる、というのが課題かも
しれません。
「水面」をテーマにした「水指」というまとまりすぎたストーリーから、
「水」に軸足を置きつつ、別の何かに飛躍するストーリーと造形をまた
期待しています。



茶の席に自然の質感を持ち込みたいと考えて作りました。

題材は池。水の荒々しさと静寂、その中で生きるモノの芽吹きを
表現しました。
人と自然とのかかわりを思うきっかけになれば幸いです。

(太田氏 出品票より一部抜粋)

風のない日、鏡のように景色を映しだす水面から、ちょこんと顔をだす
水草のミズオオバコ。しばらくすると、静けさのなかから水紋がひとつ、
またひとつと次々に広がっていく。

そんな情景が広がってきます。

この水指はガラスに精製した漆が塗られ、木という素材では見ることが
できない漆そのものの色にふれることができます。
また、光によって白檀塗が鮮やかに浮かび上がったり、かすかに見え
隠れしたり、まったく異なる表情を生みだします。

生命の呼吸を感じると同時に、蓋のツマミに表現された水草は、どんな
花を咲かせるのか、などを想像すると、季節を巡る自然がこの作品から
伝わってきます。

(文・撮影= Izumi TK)

『第2回 ティー・エレメント展』開催中 3月21日(日)まで
OPEN 木・金・土曜日 11:00-18:00

若王子倶楽部 左右KOGEI GALLERY & SALON IN KYOTO
営業時間 11:00~18:00営業日 木・金・土曜日
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